生還者

生還者
保科昌彦 著


旅館を襲った崩落事故から奇跡の生還を遂げた者たちが、次々と謎の死を遂げていくという、なかなか面白い設定のミステリ小説です。

事故から1年が過ぎたあたりを本編として、図書司書の沢井という青年を中心に描いています。
彼も生還者の一人で、自分が計画した旅先で起こった崩落事故が原因で、最愛の人を死なせてしまったと思いこみ、ショックから立ち直ることができずにいます。

その崩落事故では、二十人以上が死に、数名の生存者が崩れた建物の隙間で救出を待っていました。そんな中、仲居の宮内が自分の罪を告白し、この崩落事故が呪いであると言い、それがきっかけで、彼らは、みずからが過去に犯した過ちを告白しあいます。

本編(事故から1年後)の途中で、崩落事故直後の生存者たち一人一人に焦点を当て、彼らが自分の罪を告白する様子が描かれます。こうした描写の中に、違和感を覚える部分があり、実はこれがトリックの大きなポイントなんですが、これ以上は書けません。

叙述トリックものとしては、とても面白かったのですが、最初に「呪い」を持ってきてしまったため、その後の展開が偶然に頼る形になってしまったような気がします。もうちょっと、わかりやすい動機で人間味のあるお話にしていただけると、すっきりしたんですけど、ホラー系のミステリが好きな人は、これくらいのほうが面白みがあっていいかもしれません。
最後までドキドキする小説でした。







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異界

異界
鳥飼否宇 著


あの南方熊楠が主人公の、本格的ミステリです。
弟子の太一から、村に狐憑きの少年が出没するという話をきき、調査に向かった熊楠でしたが、そのさなか、病院から乳児が連れ去れるという事件に遭遇します。



目撃者の証言で、狐憑きの少年の正体が、知り合いの息子だという情報を得て、真相を確かめるべく調査を続ける中で、赤ちゃんの連れ去り事件に遭遇します。
太一の差別意識から、犯人は山の民ではないかという方向に話が流れ、彼らに会いにいくことになります。ところがそこで、人の言葉を理解せず、動物のような唸り声をあげる少年と出会い、謎が深まっていきます。

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キタイ

キタイ
吉来駿作 著



第6回ホラーサスペンス大賞、大賞受賞作品です。

ある森に死体を埋めて七日過ぎると、死体に青い球体が現れる。それを別の人間に食べさせれば、死体が生き返る。
中国に伝わる死者の復活術「キタイ」を使って、18年前、少年たちは仲間の一人、葛西をよみがえらせようとした。しかし、それは失敗に終わり、彼らの人生は大きく狂うことになった。
ある者は自分が葛西であると錯覚し、またある者は幽霊の声や臭いに悩まされる。キタイにかかわった人間はことごとく不幸な人生を送り、そして18年が過ぎたとき、死んだはずの葛西が彼らの前に姿を現した。



復活した葛西は、なぜかキタイにかかわった人間を殺しはじめます。次々と仲間が殺されていく中、かつて逃げるように香港に渡った、深町が中心となって話が進んでいきます。
霊的なものではなく、「13日の金曜日」のジェイソンのように、はっきりと実体を持った存在に追われるサスペンスもので、途中、残虐シーンがかなり多いので、気持ち悪くなるかも。
キタイとはいったい何なのか?最後はその謎が解き明かされます。




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