生還者
生還者
保科昌彦 著
旅館を襲った崩落事故から奇跡の生還を遂げた者たちが、次々と謎の死を遂げていくという、なかなか面白い設定のミステリ小説です。
事故から1年が過ぎたあたりを本編として、図書司書の沢井という青年を中心に描いています。
彼も生還者の一人で、自分が計画した旅先で起こった崩落事故が原因で、最愛の人を死なせてしまったと思いこみ、ショックから立ち直ることができずにいます。
その崩落事故では、二十人以上が死に、数名の生存者が崩れた建物の隙間で救出を待っていました。そんな中、仲居の宮内が自分の罪を告白し、この崩落事故が呪いであると言い、それがきっかけで、彼らは、みずからが過去に犯した過ちを告白しあいます。
本編(事故から1年後)の途中で、崩落事故直後の生存者たち一人一人に焦点を当て、彼らが自分の罪を告白する様子が描かれます。こうした描写の中に、違和感を覚える部分があり、実はこれがトリックの大きなポイントなんですが、これ以上は書けません。
叙述トリックものとしては、とても面白かったのですが、最初に「呪い」を持ってきてしまったため、その後の展開が偶然に頼る形になってしまったような気がします。もうちょっと、わかりやすい動機で人間味のあるお話にしていただけると、すっきりしたんですけど、ホラー系のミステリが好きな人は、これくらいのほうが面白みがあっていいかもしれません。
最後までドキドキする小説でした。
保科昌彦 著
旅館を襲った崩落事故から奇跡の生還を遂げた者たちが、次々と謎の死を遂げていくという、なかなか面白い設定のミステリ小説です。
事故から1年が過ぎたあたりを本編として、図書司書の沢井という青年を中心に描いています。
彼も生還者の一人で、自分が計画した旅先で起こった崩落事故が原因で、最愛の人を死なせてしまったと思いこみ、ショックから立ち直ることができずにいます。
その崩落事故では、二十人以上が死に、数名の生存者が崩れた建物の隙間で救出を待っていました。そんな中、仲居の宮内が自分の罪を告白し、この崩落事故が呪いであると言い、それがきっかけで、彼らは、みずからが過去に犯した過ちを告白しあいます。
本編(事故から1年後)の途中で、崩落事故直後の生存者たち一人一人に焦点を当て、彼らが自分の罪を告白する様子が描かれます。こうした描写の中に、違和感を覚える部分があり、実はこれがトリックの大きなポイントなんですが、これ以上は書けません。
叙述トリックものとしては、とても面白かったのですが、最初に「呪い」を持ってきてしまったため、その後の展開が偶然に頼る形になってしまったような気がします。もうちょっと、わかりやすい動機で人間味のあるお話にしていただけると、すっきりしたんですけど、ホラー系のミステリが好きな人は、これくらいのほうが面白みがあっていいかもしれません。
最後までドキドキする小説でした。


